かざみどり

触れた作品の感想等をぽちぽち綴るメモページ。ネタバレ注意。

朝焼けは黄金色を読んだ感想

コミックス「朝焼けは黄金色 THE IDOLM@STER」を読んだ感想です。

 

【繋げる、繋がる物語】

この話の主軸は小鳥さんの母親「音無琴美」のアイドル人生による人や物の繋がりでした。

琴美さんが「素敵なものを誰かに繋げていきたい」と言った想いは、時間はかかってしまったけれど小鳥さんを通じてしっかりと届けられたことを確認することができました。

今作よりも未来で活躍している765プロのアイドル達と、小鳥さんが並んでいる最終巻の特装版表紙にその繋がりが象徴されているように見えてグッときました。

中止になってしまったライブも決して無駄だったのではなく、それによって生まれた絆も「小鳥さんの同級生の両親の馴れ初め」という形で確かにあったことを描写されていたのも凄く好きです。そういった意味でも、琴美さんは琴美さん自身の理想の「繋げていくアイドル」として生き続けているのではないかと思います。

また、小鳥さんが一時的にでも舞台に立つと決断した理由や事務員になると決めた理由は、勿論琴美さんの影響はあるにしろ「素敵なものを繋げていきたい」と自分自身の気持ちで答えを出しているところもいいなと思いました。

小鳥さんは高木Pが琴美さんを娘である自分に重ねているのだろうと気付いているように見えたので、ブラックニードルとの舞台はあのままだと琴美さんの気持ちとして立たなければならなかったと思うんですが、高木Pに「あの頃に戻りたいんじゃない、前に進みたいんだ」「音無琴美じゃない、音無小鳥としてステージに立って欲しい」という意思を聞けたからこそ、小鳥さんは自分の意思で「繋げたい」から立つことができたのだろうと。

小鳥さん自身で答えを出したのが、琴美さんの物語である以上に、小鳥さんの物語だなと感じました。

765プロ765プロのアイドル達を愛する人間としては、読み終えて一番強く思ったのは小鳥さんの存在があまりにもデカすぎる………でした。この話があるからこその765プロだとしみじみ思いました。美咲ちゃん来るまでほぼ1人で事務仕事していたのも含めて小鳥さんに足を向けて寝れない。

ミリシタのメインコミュなどで色々な夢を見た子たちが今度はアイドルとしてファンや周囲に夢を与えていく、想いを繋げていく…といった話が度々されるのも今作を読むと納得です。ずっと765プロとしての思念が受け継がれているみたいで胸が熱くなりました。

【新曲「翼」「想い出は永遠に」】

まな先生がカバー裏で聴きながら読んで欲しい!とおっしゃられていたので曲を流しながらライブシーンを読みましたが、小鳥さん、琴美さんそれぞれの想いを感じてボロボロ泣きました。

「想い出は永遠に」は作中でも語られている通り琴美さんの楽曲ですが、歌詞の内容があまりにも琴美さん→高木P、高木P→琴葉さんに向けた内容で泣けました。曲調が歌謡曲っぽいのも相まってノスタルジーに浸ってしまいます。

「翼」は琴美さん視点として聴くのと、小鳥さん視点として聴くのとではまた印象が違って深い歌詞だなと思いました。

琴美さんとしては自分自身が羽ばたいていきたいという願い、小鳥さんとしては羽ばたいていきたいと言う願いを背中から押してあげたい、といったような見方の変化があって、どちらとしても間違いなく2人を象徴している内容でとても好きです。

また、アウトロで「空」で使われているフレーズが流れるのもずるい……。

今回は小鳥さん歌唱でしたが、今後もしアニメ化や何かの機会で琴美さんにCVがつくことがあれば、琴美さんVerも聴いてみたいです。

【黒井社長の高木社長に対する執着】

黒井社長は高木社長の手腕を見込んでいたからこそ自分が見込んでいない1人のアイドルに肩入れしていたのが気に入らなかったのでしょうか。最初から琴美さんに対してはクールに扱っていたように見えましたが、あの事件があってからは高木を陥れた相手として忌々しく思っているように見えました。

黒井社長は担当アイドルに対して厳しいことを言いますが、その反面、1巻で開花せず引退するアイドル達を労ったり、琴美さんに「大人の汚い力によって輝かしいステージに立つのだ」と諭したりもするので、少なくとも人をモノとして扱うわけではなく、ただ業界に貢献したい想いが人一倍強いだけなのかなといった印象を抱きました。

経緯はなんであれ、あの事件のあとずっと後ろを向いている高木社長に対して昔の輝きを思い出して欲しいとあれやこれやと動いている姿がとても不器用で、こういうところが憎めないんだなと思いました。

その1つとして黒井社長が高木社長に提案した「目標となる伝説のステージ(琴美さんが立てなかったステージの再演ですが、のちにゲーム本編に出てくる"ステラステージ"がイコールとなるのでしょうか)」は高木社長が辞職することによって立ち消えてしまうわけですが、これが大きな確執の一手になってしまった感じがしました。

ブラックニードルの追加レッスンの根回しなど、黒井社長の裏で完璧に立ち回る高木社長だからこそ(黒井社長はそれも気付いていたみたいだから余計に)、2人は背中を預けられるほどの相棒だったのでしょう。黒井社長が執着してしまうのも頷けました。

仲違いをしていなければどんな世界が見れたのかな…なんてことを考えてしまいます。

【ブラックニードル】

この子たちも黒井Pに潰されてしまうのかな、と思っていたのですが、3人とも芯のある子達だったので、黒井Pが去ったあとも変わらず活動していそうでよかったです。

けど今作の数年後になるであろう本編では一切名前を聞かないのが寂しいですね。

特にセンターの若宮一沙さんは黒井社長を見返そうという一心で立ち向かっていたのが印象強く残っています。

琴美さん失踪の話をこっそり聞いていた時、黒井Pの「アイドルは強くならなければならない」という想いを汲み取ってなお立ち向かおうとする姿がかっこよかったです。

黒井社長は同じ想いを持つ人を心のどこかで求めていたのか、その反撃を聞いたあとこっそり笑っていたので凄い子ですよね。

彼女たちは間違いなく黒井Pの元にいるのが似合っている子達だったと思います。

個人的には香椎アオさんが好きです。黒井Pに対してべーってしたりいい顔しないのに関係ないアーティストに対してカチコチになっちゃったり。八重歯もかわいい。

【朝焼けは黄金色とシャニマスのSHHis】

今作よりSHHisの方が世に出るのはあとになりますが、自分は先にSHHisのW.I.N.G編を少し触っていたので、今作を読んでストーリーを思い出していました。

SHHisは、大きな舞台の前に失踪してしまったアイドル「八雲なみ」のようになりたくてアイドルとなったにちか、更にその八雲なみのアイドル人生に関わっていたのがにちかが所属している283プロの社長だった、という点で朝焼けは黄金色のストーリーと重なる部分があります。

なのでこの二作を並べた時にアプローチの仕方がまったく違うな…と少し怖さを感じました。

少なくとも、小鳥さんはアイドルではなく事務員の道、にちかちゃんはアイドルの道を進むことになりますが、にちかちゃんに関しては中々エグいものを背負ってしまったな…という印象が今でも深く刺さっています。

シャニマスをほとんど触われていないのでその他詳しいことは分からないのですが、時間があったらSHHisのエピソードも掘っていきたいです。

【その他】

・幼少期の詩花ちゃんがとてつもなく可愛い。去ろうとする黒井Pに声をかけようとする一沙さんに気付いてパパの裾を引っ張っているあたりやっぱり良い子だなーと思いました。

・小鳥さんがクリスマスプレゼントとして高木社長に渡したクマのぬいぐるみは過去作とかどこかで触れられているのかな?覚えがないのがつらい

・一沙さんを見るたびどうしても千早がよぎってしょうがなかったです。髪型や目の形、更にストイックなところが似ている…千早は黒井社長とは絶対ウマが合わなさそうですが(アニマスはまた別と考えて)

・小鳥さんの同級生の砂千さんも好きです。

アニマスを再度見たら全く違う印象を抱くだろうと思いました。小鳥さんの目線になってしまって全話号泣しながら観そう。

・(追記)滝田さんゲスト回のMORアーカイブを聴いたのですが、「翼」の誕生秘話が凄かった。特別すぎる楽曲なのを知りもう涙なしでこの楽曲を聴けそうにありません。。。。。